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中部大学教授 CUBE特別顧問
深谷圭助先生
情報は、「タダ(無料)」で入手可能な時代と言われて随分年月が過ぎ去ろうとしています。
例えば、かつて大人気を誇った旅行雑誌は、ネット(無料動画サイト)情報にとって代わられています。
わざわざ雑誌を購入しなくとも、ネットの無料情報で事足りるということなのでしょう。
情報が「タダ」と言いますが。実際の世の中では、情報を意図的に集めたり、集約したり、発信する側として、これらの情報を商売に結び付けようとします。
ここからは会員登録をしないと視聴できませんとして「サブスクリプション(一定期間の利用のための定額料金を支払うコンテンツ・サービス)」を推奨するようになりつつあります。
ネットの情報に依存するようになった私たちは、言われるままにサブスクリプションするしか、良質な情報に触れる方法がなくなってしまったのです。
教育現場では、伝統的な教育サービスが残されています。
テキストとノート(問題集)を基本的教材として講師が授業をする、もしくは、数人の生徒に個別指導をするというスタイルが主流です。
もちろん、動画視聴と問題演習を組み合わせた、アプリケーションもリリースされるようになり、生徒の勉強の在り様も少しずつ変化しつつあります。
教育現場で、AIをどのように利活用したらよいのでしょうか。
文部科学省から生成AIの活用についての指針が示されました。
児童生徒が学習活動で利活用する場面、どのような方針をもって生成AIを活用したらよいのかについての指針は以下の通りです。
①発達の段階や情報活用能力の育成状況に留意しつつ、リスクや懸念に対策を講じた上で利活用を検討すべき。
その際、学習指導要領に定める資質・能力の育成に寄与するか、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味することが必要
②「生成AI自体を学ぶ場面」、「使い方を学ぶ場面」、「各教科等の学びにおいて積極的に用いる場面」を組み合わせたり往還したりしながら、生成AIの仕組みへの理解や学びに生かす力を高める。
この指針を読むと、あくまでもAIの活用は、学習指導要領の定める資質能力の育成のためにAIを活用せよとのことであり、生成AIが社会で活用される可能性を最大限に教育現場で引き出そうとするものではないことが分かります。
実際、現代社会では、生成AIを活用したサービスが次々に登場しています。
社会が、働き方改革の名のもとに、時短、タイパ(タイムパフォーマンス)を進める推進力としてAI活用を推奨しています。
そして、AI活用を念頭において、これまで、問題解決のプロセスの主流であった、人が目標と計画を立てて考え、進めていくPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)サイクルすら、「時間がかかり過ぎる」ことを理由として近年では否定され、戦闘機パイロットが考案したOODA(ウーダ)ループが(Observe:観察、Orient:方向づけ、Decide:意思決定、Act:行動)が注目されるようになっています。
このような問題解決の一連の動きの中で、適時的で迅速な意思決定を、AIを活用して行うことが求められています。
このように、現代社会では、AIを用いた問題解決を積極的に推進しようとしていますが、生来、人間の資質能力として保持すべき「問題解決能力」に、人工知能(生成AI)が、どの程度、人間の問題解決能力に関与させても大丈夫なのか、人の本来、持つべき能力を損なわないレベルなのかについては、未だ誰もその答えを得ていないのではないでしょうか。
AIを使うことが人間の「自力解決の力」に貢献するのであれば、それほど難しい問題ではないのですが、もはや人間の能力を凌駕しているAIは単なる道具であるとは言えないのです。
現在、生成AIを活用する際、適切な「問い(プロンプト)」を問いかける必要がると言われています。
今、生成AIの学習現場での有効な活用方法と言われれば、「適切な問い(プロンプト)」を考えることと答えることができますが、生成AIの教育利用、学習利用の可能性は未だそこにとどまるわけではないでしょう。
現在もなお、発展途上のAIであり、その教育現場における活用についても議論の真っ最中です。
現場の子供たちや我々がすべきなのは、「使うことで、AIの限界と可能性を確かめていく」ことに他ならないのではないでしょうか。
参考HP
・文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver. 2.0)【概要】」
https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_shuukyo02-000030823_002.pdf〔2025年1月13日アクセス〕
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