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A「この間、社員がすべからく参加した会議があってさ~」
B「へー」
A「まずは社長が『君たちはたるんでいる!』って檄を飛ばしてたんだけど……」
B「厳しいね」
A「その話のさわりの部分で、新入社員がおもむろにスマホをいじり始めて……」
B「そりゃまた破天荒な」
A「普段は温厚な部長が、それを見て『失礼だろう!』って大激怒!」
B「あー、『君子豹変』ってやつだね」
A「でもその新入社員も曲者で、斜に構えて全然反省しなくて」
B「ある意味大物だね、その新入社員」
A「結局、ぐだぐだのまま、なし崩し的に会議が終わっちゃったんだよね~」
B「それは大変だったね」
……という、なんの変哲もない会話。
しかし、なんとこの中に8個も言葉の誤用が潜んでいるのですが、お分かりでしょうか?
それでは、一つずつチェックしていきましょう!
①すべからく
誤:全て
正:(「すべからく~べし」の形で)必ず~しなければならない
→例:それは、全社員がすべからく出席すべき会議だ。
②檄を飛ばす
誤:激励する、怒号を飛ばす
正:自分の意見や主張を人々に広く知らしめ、同意を求める
→例:選挙に向けた街頭演説で、候補者がマニュフェストについて檄を飛ばしている。
③(話の)さわり
誤:話の冒頭部分
正:話の要点となる部分
→例:説明がさわりの部分に差し掛かかったので、聞き逃すまいと耳を傾けた。
④おもむろに
誤:突然
正:ゆっくりと、徐々に
→例:登山中クマと出会ってしまったので、刺激しないよう一歩一歩おもむろに後退した。
⑤破天荒
誤:型破りであること、無茶なことをすること
正:誰もが成し遂げなかったことをすること
→例:民間人が宇宙へ行くという、破天荒なツアーを企画する。
⑥君子豹変(君子は豹変す)
誤:人柄のよい人物が態度をガラッと変えること、もしくは、ずる賢い人が都合よく態度をコロコロと変えること
正:賢い人や立派な人は、自らの過ちを認めてそれを改めることができるということ
→例:彼は一時期は自分のやり方に固執していたが、それが正しくないとわかると、「君子は豹変す」との言葉通り、すぐさま切り替えて別の方法を取った。
⑦斜に構える
誤:すかした態度を取る、物事にちゃんと正対しない
正:改まった態度を取る、身構える
→例:彼が真剣な顔をしたので、僕も斜に構えて次の言葉を待った。
⑧なし崩し
誤:勢いや流れに任せて物事が進んでいくこと
正:こつこつと少しずつ物事を進めること
→例:計画をしっかり立てて、夏休みの宿題をなし崩しに進めていく。
このように、日常的に何気なく使用している言葉や慣用句でも、場合によっては意味が真逆だったりするものがあります。
とはいえ、これはあくまで「元の意味としてはこのような用法が正しい」というようなお話。「言葉は生き物」とも言われるように、時勢に合わせて言葉は流動的に変化していきます。
特に、上で挙げた中で言うと「斜に構える」という言葉は、国語辞典でも既に「物事に皮肉やからかいの態度で向かう」というように載っていました。また、「おもむろに」や「話のさわり」、「なし崩し」などの言葉も、比較的よく使う割に正しい意味で使っている人の方が少ないでしょう。きっと数年後には、これらの言葉も誤用の方が正しい意味として辞書に載ることになるかもしれません。
誤用を改めて正しい意味で言葉を使っていくか、はたまた誤用に固執することこそが過ちだと考えて、時流に合わせた言葉の使い方をしていくか……どちらが「君子は豹変す」に該当するのか、しっかり考えていかないといけませんね!
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