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中部大学教授 CUBE特別顧問
深谷圭助先生
NHKの番組には、今、NHKプラスという便利なインターネットサービスがあります。
一定の期間であれば、見逃した番組を視聴することができます。
このサービスのおかげで、私はNHKスペシャルや大河ドラマを見逃したり、都合で視聴できなかったりしても、通勤で毎日乗車している新幹線で視聴することができています。
私は、小学生の頃、社会科、特に歴史が得意だったのですが、その一つの理由が、「大河ドラマを欠かさずに視聴し、百科事典などで熱心にその時代や人物について調べていたからでした。
NHKの番組は、学習に直接つながるような内容が多く、特に大河ドラマはいろいろなことを学ぶきっかけになります。
2025年の大河ドラマ「べらぼう」は、江戸時代の出版王蔦屋重三郎が主人公で、江戸時代に出版が華やかな町人文化を牽引した様子がいきいきと描かれています。
娯楽のため、実用のためにあらゆる出版物が刊行され、老若男女がこぞって草紙を手に取っていたようです。
この時代に読み書きのような基礎教育が寺子屋・手習いで全国的に教えられるようになったことと呼応した社会的な現象ともいえるでしょう。
文字を読んだり書いたりすることは、経済を活発にし、物の移動や人の移動をうながします。物の移動や人の移動が、経済を循環させるきっかけになったりするのです。
江戸時代の人の移動は「旅」とも重なり、その姿は、当時、日本に滞在していたオランダ人ケンペルは元禄初期(1690年頃)に、以下のように日本人の旅の様子について記していました。
「日本でもっとも往来のはげしい街道は東海道であるが、日ごとに信じられぬほどの多数の人で埋められ、ある季節にはヨーロッパの大都会よりもにぎわっている。その理由は、自ら好んですると、必要に迫られてするとを問わず、他の国民と異なり、日本人は数多く旅を試みるからである」(ケンペル、齋藤信訳『江戸参府紀行』より引用)
なぜ、日本人は今から三百年以上から、旅をすることを好んでいたのでしょうか。
江戸時代の出版業界人は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」(西村永寿堂)、歌川広重の「東海道五十三次」(保永堂)など、旅情を誘う優れた浮世絵作品をプロデュースしましたが、これらの作品が、旅をしたい人々の旅情を誘ったに違いありません。
作品を鑑賞し、人々がどのような気持ちになったのかを想像してみることは面白いのではないでしょうか。
私の手元に、「東海道往来」という寺子屋の教科書があります。この教科書で、主要な東海道の地名と名所旧跡を覚えていたのです。
歴史の勉強では、これらを断片的な知識として教え、おぼえさせようとしがちです。
作品の作者とテーマ名を覚えることは行うのでしょうが、その背景については教えませんし、学ぶこともありません。私は、そうした作品や作者名だけではなく、その社会的背景を含めた探究的な学習をもっと学校や塾でも行うべきではないかと思うのです。
この探究的な学習は、子供たちに、学ぶことの「内的な意味」について考えるきっかけを与えることになるのではないでしょうか。
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