新しい年が近づくと、こんな会話が生まれます。
「来年の目標、どうする?」
何気ない一言ですが、この問いには、
保護者の願い、期待、不安、そして迷いがすべて詰まっています。
ちゃんと決めたほうがいいのか。
早く動かせたほうがいいのか。
それとも、まだ様子を見たほうがいいのか。
教育現場で長年子どもたちと向き合ってきて感じるのは、
目標そのものよりも、目標との向き合い方のほうが、その後を大きく左右する
という事実です。
【目標は、頑張らせるためのものではありません】
「目標」と聞くと、
努力、我慢、達成、という言葉が並びがちです。
けれど本来、目標は
自分の一年をどう使うかを整理するための道しるべです。
うまく使えば、心を落ち着かせてくれます。
使い方を間違えると、逆に苦しくなります。
毎年、年始に目標を立てて、
気づけば忘れてしまう。
そんな経験があるご家庭も少なくないと思います。
それは、やる気が足りなかったからではありません。
日常とつながらない目標だった
それだけのことです。
【勉強の目標は、数字よりも行動で考える】
勉強の目標を考えるとき、
どうしても点数や順位が頭に浮かびます。
もちろん、それを否定する必要はありません。
ただし、数字は結果であって、日々の行動ではありません。
そこで視点を少し変えてみてください。
「テストで〇点」ではなく
「分からない問題を、その日のうちに一度は見直す」
「成績を上げる」ではなく
「宿題を後回しにしない」
こうした目標は派手ではありません。
けれど、毎日の生活にそのまま置くことができます。
教育現場で見てきた中で、
成績が安定している子に共通しているのは、
高い目標を掲げていることではなく、淡々と続けられる行動を持っていることです。
【プライベートの目標は、実は一番大切です】
ここは、つい後回しにされがちな部分です。
しかし、あえて強くお伝えしたいのは、
生活が整っていないと、学習は安定しない
ということです。
友だちとの時間。
家族との会話。
好きなことに触れる時間。
これらは、勉強の邪魔ではありません。
むしろ、心の余白をつくる役割を果たします。
気持ちが張りつめたままでは、
集中も、継続も、前向きさも続きません。
プライベートの目標は、
「もっと遊ぶ」でも構いません。
「家族と一緒に過ごす時間を大切にする」
「好きなことを続ける」
それだけでも十分です。
勉強とプライベートは、
どちらが上でも、下でもありません。
同じテーブルに並べて考えていいものです。
【目標は、途中で変わっていい】
ここも、とても大切な視点です。
目標は、一度立てたら守らなければいけないもの。
そう思われがちですが、実際は違います。
成長すれば、考え方は変わります。
環境が変われば、優先順位も変わります。
目標を見直せることは、失敗ではなく成長です。
一年の途中で、
「ちょっと合わなくなってきたな」
そう感じたら、立て直せばいい。
この柔らかさがある家庭ほど、
子どもは安心して前に進めます。
【来年の目標は、一緒に考えるもの】
大人が決める必要はありません。
子どもに丸投げする必要もありません。
大切なのは、
一緒に考える時間があること
意見を聞いてもらえる空気があること
それだけです。
正解は出なくても構いません。
すぐ決まらなくても問題ありません。
「どう思う?」
「それ、いいね」
「じゃあ、少しやってみようか」
そのやり取り自体が、
来年という一年の土台になります。
【静かに整った一年は、強い】
新しい年は、派手なスタートである必要はありません。
静かに、無理なく、整って始まる一年は、
後からしっかりと力を伸ばします。
来年の目標。
それは、未来を縛るものではなく、
一年を安心して歩くための地図です。
焦らなくて大丈夫です。
比べなくて大丈夫です。
一人ひとりの歩幅で、
自分の一年をつくっていければ、それで十分です。
この文章が、
ご家庭で目標を考える時間の、
少し穏やかなきっかけになれば幸いです。