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SNSが生み出した「句点」の新しい意味

中部大学教授 CUBE特別顧問

深谷圭助先生

 

ラインやインスタグラム等のソーシャルネットワークサービスの普及で、情報を発信する機会が増え、若者が文章を書き、伝達することが日常生活のありふれた風景になりつつあります。

その中で、新たな言葉のルールや言葉の意味が生成されていることが指摘されています。

特に最近、メールで文章、長文を送ることが少なくなり、ラインのように短文を単独で送ることが増えています。

このことで文の作法が変化してきているというのです。

例えば、以下の2つの文を比べてみてください。

この2つの文の間には、違いがあります。何が違いますか。

そして、その違いの意味するところについて説明してみましょう。

了解しました

了解しました。

さて、いかがでしょうか?

違いは分かりましたか?

上の文には、句点がありません。

下の文には句点があります。

では、この違いが意味するところは、何でしょうか?

どうも、単に上の文は句点を打ち忘れたというわけではないそうです。

あえて、「句点」を外しているとのことなのです。

SNSの世界で文を書くとき、紙やマス目から解放され、自由に文を書くようになりました。

その結果、読みやすくするために、句読点で文章を分けるのではなく、改行をして文章を分けるようになっています。

文章を続けて書く必要がある場合、句読点を打つことで読みやすくするのですが、これは、限られた紙面のスペースに文章を入れ込むには、詰めて文章を書き込む必要があり、その結果として、句読点を打つということになります。

デジタルディバイスのスクリーンに文章を打ち込む際、改行が自由にできることが前提になると、句読点を打つことの意味合いが薄れていくことは理解していただけるのではないでしょうか。

デジタル化は、紙に書くことを前提とした文章のルールを変える可能性があるのです。

また、この「了解しました」「了解しました。」の解釈について、もう一つ重要な見方があります。

それは、「了解しました」より「了解しました。」の方が、よりかたく、学校的、権威的であり、冷たい印象を与えるというのです。

更に言えば、「了解しました。」と句点つきのメッセージを送る人は「つめたい」「怒っている」と解釈されるそうです。

逆に、読点をつけない人は、カジュアルで、やわらかい印象を与えていると解釈されるそうです。

以上の事例は、実に今の言語状況をよく表している事例だと思います。

今の言語を巡る環境、状況の変化を受けて、言葉のルールを変更しようとする動きが、実際の言葉のつかい手たちから巻き起こり、それが、インターネット上でささやかれ、生成AIのハルシネーションとして、世間に流布されるのです。

文の書き方が、デジタルディバイスのスクリーン上に打ち込むという行為が、これまで紙にペンで書き込む行為を前提とした、表記上のルールを揺さぶるようになっていることは、これまでに経験したことのない変化です。

この変化によって、これまでのルールが変更されるようになるとするならば、言語によって、人々を結び付けていたこれまでの社会の在り方をそのようにして再び結び付けたらよいのかが重要な課題になるでしょう。

特に、言語教育を主に担ってきた学校教育はどのように規範的な言葉を教えていったらよいのか。

新しい時代の言語のルールについて、文化庁と文科省は連携をしながら、教育現場における取組に反映させていってほしいと思っています。


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