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深谷圭助先生のコラム2~「話し言葉」と「書き言葉」~

「話し言葉」と「書き言葉」 ~作文指導の今昔~

中部大学教授 CUBE特別顧問

深谷圭助先生

 

〇はじめに

「話し言葉」をそのまま文字におこすとどうなるでしょう。テレビ番組やインターネット動画に字幕を入れることがありますが、話している言葉のまま字幕にすることはほとんどありません。書き言葉に相応しい修正を加えているものです。

「話し言葉」と「書き言葉」の問題は、作文指導において大切なので、今回は、「話し言葉」と「書き言葉」をテーマにしたいと思います。

 

〇「話し言葉」と「書き言葉」の接近

元来、学校は、「書き言葉」の文化の中にあります。教科書が授業で教える最も重要な教材であることからも学校が「書き言葉」を教えるところだということが分かります。

教室では、書き言葉で書かれた内容を、先生が「話し言葉」で伝え、子どもたちが「話し言葉」で答えた後、「書き言葉」の試験に答え、評価されるという具合になっています。

あくまでも授業というのは、「書き言葉」から始まり、「書き言葉」で終わるわけです。

江戸時代、寺子屋で教えられていたころから、「読み書き」は教育の中心でした。話し言葉についての指導は、そもそも学校で教えるものではなく、生活の中で親や家族、地域の人々との会話の中で育まれたものです。

このように、もともと、「書き言葉」は学校で、「話し言葉」は、家庭や地域で学ぶものでした。ところが、明治以降、書き言葉を話し言葉に近づける運動が始まりました。これを「言文一致運動」と言い、明治から大正時代にかけて、文学者を中心に熱心に取り組まれた運動です。この運動は、古くは二葉亭四迷や尾崎紅葉、樋口一葉らに始まり、明治を代表する文豪夏目漱石らが確立しました。当時の知識人や新聞社が、話すように書く、書いたことを話すように読むことをめざしました。当時の新聞や雑誌、書籍は総ルビ付きでした。

 

〇思ったように、話すように書く「自由作文」はいつから?

明治の国語教育では、模範的な文章を書かせることを重視していました。「定型的な教育」をしていたわけです。授業での答え方も「定型的な答え方」をしなければなりませんでした。

現在のように、「何を書いてもいい」という作文教育は、大正時代(1920年代)から始まったものです。この頃になると、随意選題(ずいいせんだい)、生活綴方運動といって、日常生活の出来事の中からテーマを選び、話すように書かせるという自由作文教育運動が始まりました。その結果、日本では、小学校低学年から、作文教育が盛んにおこなわれるようになりました。一方、欧米諸国では、日本のような早期作文教育を行うことはできませんでした。日本語には「かな文字」という表音文字があり、「かなもじ」さえ、読み書きできるようになれば、話しことばをそのまま文章にできたからです。

 

〇おわりに ~筋道立てて書く作文指導にむけて~

話すように書ける「かな文字」をもつ日本語が、世界で最も早期から始まる「作文指導」と話すように思いのままに書く「自由作文」を生み出しました。ところが、この作文指導が、「指導をしない作文指導」となってしまいました。本来、「書き言葉と話し言葉は別物」なのですが、「自由にたくさん書きなさい」という、積極的な指導をしない作文指導が横行するようになってしまいました。

作文指導では、「分かりやすく、筋道立てた書き言葉」を教えることが重要です。そのためには、子供が考え、順序良く整理して書く作文指導が必要です。段落をつくって、書く内容と順序を整理して書いていくことを教えなければなりません。最近は、論理的に書く指導、欧米型の小論文指導が日本にも導入され、小学校から始まる日本の作文教育の在り方が見直されようとしています。特に、平成30年に改訂された高校国語科に「論理国語」が登場したことは、これらの動きを表していると言えるでしょう。


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